本講座は、日本の代表的な古典、『平家物語』を読み深めることを目指す講座です。古典を読み深める過去への旅は、古典をより豊かなものにすることを目指すと共に、過去から現代を豊かにするすぐれて創造的な営みでもあります。日本の重要な転換期を描き出すこの物語が、私たちの父祖・母祖が歩いてきた道筋を、また政争が武力によって決する過酷な時代の人々のありようを、どのように映し出しているか、その一端を見つめます。
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セット講座
第1回 第一講 「祇園精舎」―「祇園精舎の鐘」 「沙羅双樹の花」を中心に
動画 103分第2回 第二講 遊女往生―祇王 Ⅰ 祇王一家の繁栄と仏の出現
動画 102分第3回 第二講 遊女往生―祇王 Ⅱ 清盛の変心と祇王の放逐
動画 87分第4回 第二講 遊女往生―祇王 Ⅲ 六波羅蜜と女たちの往生
動画 85分第5回 第三講 倫理への殉死、そして治承のクーデターの発端―平重盛 Ⅰ 父清盛への諫言
動画 117分第6回 第三講 倫理への殉死、そして治承のクーデターの発端―平重盛 Ⅱ 倫理への殉死
動画 104分第7回 倫理への殉死、そして治承のクーデターの発端―平重盛 Ⅲ 重盛と治承のクーデター
動画 136分
全セット ¥11,550円
講師
(国文学者・千葉大学名誉教授)
東京大学文学部国文学科卆業・同大学院博士課程単位取得満期退学。千葉大学・清泉女子大学教授を歴任し、現職。中世軍記物を専門としており、著書に『平家物語 上・下』(ほるぷ出版)、『軍記と武士の世界』(吉川弘文館)、『軍記物語形成史序説―転換期の歴史意識と文学』(岩波書店)など。ほかに共編著多数。
注意事項
※本講座は、ストリーム配信によるオンデマンド講座です。受講生の皆様は、購入時にご案内する動画URLにアクセスし、バスワードを入力してご視聴ください。
※パスワード等は、購入者に配布するPDF形式のファイルに記載します。
※資料もダウンロードできますので、配布するPDFファイルにてご確認ください。
※視聴期間は、視聴期間は2024年10月1日~2025年3月31日まで。
内容紹介
日本古典への招待『平家物語』 第1回
第一講 「祇園精舎」―「祇園精舎の鐘」 「沙羅双樹の花」を中心に
「祇園精舎の鐘」とは?その「鐘の声」に「諸行無常の響き」があるとは?そして「沙羅双樹の花の色」が「盛者必衰の理をあらはす」とは?講義第一回は、『平家物語』冒頭の、その問いの向こうに広がる基本思想を見つめることから始まる。
日本古典への招待『平家物語』 第2回
第二講 遊女往生―祇王
Ⅰ 祇王一家の繁栄と仏の出現
天下人清盛の絶大な寵愛を受けた白拍子祇王。なぜ祇王がそうなったのか?『平家』諸本で異なるその経緯を紹介しながら、この時代の白拍子の生態を眺める。そして、加賀国出自の舞に非凡な才能を持つ一人の少女の上洛から、「祇王物語」の幕が開く…。
日本古典への招待『平家物語』 第3回
第二講 遊女往生―祇王
Ⅱ 清盛の変心と祇王の放逐
仏(ほとけ)という名の年若き白拍子は、都で絶大な称賛を獲得し、天下人清盛の館に推参するが、祇王に絶対的な寵愛を寄せる清盛はけんもほろろに対面を拒絶。その惨めな退出に深い同情を寄せたのが祇王その人であった。だが、そこから「祇王物語」は思わぬ方向に…。
日本古典への招待『平家物語』 第4回
第二講 遊女往生―祇王
Ⅲ 六波羅蜜と女たちの往生
清盛の邸を放逐され、新たな寵愛人仏(ほとけ)を慰めるために邸に参上せよという命を受けた祇王は、その後嵯峨の山里で髪を剃る。ある秋の夕暮れ、尼祇王の住む草庵の戸をたたく音が…。衝撃的な「祇王物語」の結末と、そこに仕掛けられた往生とは何か、を読み解く。
日本古典への招待『平家物語』 第5回
第三講 倫理への殉死、そして治承のクーデターの発端―平重盛
Ⅰ 父清盛への諫言
物語世界での重盛は、父清盛との関係において重要な役割を付与された。巻一「清水寺炎上」の章段は、後白河法皇に不安を抱く父清盛に対する重盛の最初の諫言。そして…。物語の作者が描き分ける二つの個性の愛情を潜めた葛藤劇とその帰趨を追う。
日本古典への招待『平家物語』 第6回
第三講 倫理への殉死、そして治承のクーデターの発端―平重盛
Ⅱ 倫理への殉死
絶対的な権力者清盛に対して、その嫡男重盛は時代の人々の心を支配した仏教・儒教の徳目を一身に人格化した存在として物語世界に造型され、自ら備えた倫理の繫縛によってある選択をする。一夜見た夢によって一門の滅亡を確信した重盛は…
日本古典への招待『平家物語』 第7回
第三講 倫理への殉死、そして治承のクーデターの発端―平重盛
Ⅲ 重盛と治承のクーデター
重盛が世を去って三ヶ月後の治承三年、清盛が突如数千騎の軍兵を率いて洛中に入り、公卿殿上人四十三人の官職を剥奪、関白藤原基房を都から追い、そして後白河法皇を…。清盛のこの敵対行為は、何故生まれたか。その要因を伺い、清盛・重盛父子恩愛の様相を見つめる。